TOEIC990点(満点)は海外在住なら取れる?14年ぶりに受けた実体験と、900点との決定的な差

TOEIC990点満点。アメリカ10年・公式問題集だけで14年ぶりに受けた実体験を解説するアイキャッチ画像 経験談

2023年、14年ぶりにTOEIC L&Rを受けて990点(満点)でした。前回のスコアは840点です。

アメリカに10年住み、現地で働いていたので「まあ英語には不自由していないし」という程度の気持ちで受験しました。使った教材は公式問題集だけです。特別な講座も裏技も使っていません。

ただ、受けてみて分かったのは「海外に住んでいれば自動的に満点が取れる」わけではないということでした。実際、リスニングはかなり危なかったです。落としかけた原因も英語力ではありませんでした。

この記事では、公式問題集だけで満点を取った当日の実感と、公式データから分かる「990点というスコアの正体」、そして900点と990点を分けているものを書きます。

結論:海外在住でも「勝手に」満点は取れない

先に結論を書いておきます。

  • 英語力が十分でも、TOEICは2時間・200問を途切れずに処理し続けるテストなので、集中力が切れた瞬間に落とす
  • 990点のネックはほぼ常にリーディング側にある
  • 満点でも全問正解している必要はない(後述)
  • 昔よく語られていた「テクニック」の一部は、今やると過去のスコアまで無効になる

「ネイティブでもTOEIC満点は取れないことがある」とよく言われますが、その理由は英語力ではなく、テストの構造にあります。私自身、英語力ではなくコンディションで落としかけました。

14年ぶりに受けた当日の実感

リスニング:一番の敵は英語ではなく「寒さ」だった

受験したのは2月。会場が震えが止まらないほど寒く、集中力を持たせるのが拷問でした。ふと意識が遠のいて「やばい、今の聞いてなかった」が数回。

リスニングは約45分間ノンストップで進むので、聞き逃した設問は取り返せません。しかもここで焦って引きずると、次の設問まで巻き添えで落とします。大事なのは、落とした1問を諦めていかに早く集中し直すかでした。

英語力の問題ではないところで削られるのは本当にもったいないので、寒暖対策は完璧にしていってください。脱ぎ着できる上着は必須です。

リーディング:20分余った。そして見直しでは直さなかった

リーディングは普段から読むのが速いこともあり、思ったよりスムーズでした。時計は念のため持っていきましたが、時間配分は特に考えず、Part5から順番に解いていきました。

全部解き終わって20分ほど余る感じ。そのあと気になった箇所を重点的に見直しましたが、結局ひとつも直しませんでした。経験上、最初の解答が合っている確率のほうが高いからです。

ちなみに終わったあとの疲労感はかなりのもので、午後は何もしたくなくなりました。

【重要】昔やっていたテクニックは、今は「過去のスコアまで無効」になる行為です

ここは声を大にして書いておきたいところです。

14年前に受けたとき、私はリスニングの音声が流れている合間にリーディングの問題を先に解くということをしていました。リスニングの設問の合間には毎回ほぼ同じ定型の説明文が流れるので、問題集をやっていればそこは聞かなくても支障がなく、地味に有効なテクニックでした。

しかし、これは現在IIBCが明確に禁止行為として挙げています

リスニングテスト中にリーディングセクションの問題内容を見るもしくは解答する行為、またはリーディングテスト中にリスニングセクションの問題内容を見るもしくは解答する行為

(出典:IIBC「注意事項」

しかも措置が重く、公式には次のように定められています。

  • 試験官による注意・警告
  • 試験途中での退場
  • テストの採点をしない
  • 当協会またはETSの運営するテストに関するスコア(過去に受験したものを全て含む)を無効(キャンセル)にする

「そのとき受けた回が無効」ではなく過去のスコアまで遡って無効化されうるという点が怖いところです。履歴書に書いていたスコアごと消える可能性があります。絶対にやらないでください。

ついでに、問題用紙への書き込みも禁止です。マークシートの所定欄以外への書き込みもNGなので、リスニングのメモを取る習慣がある方は本番前に矯正しておいたほうが安全です。

満点でも「全問正解」ではない:TOEICのスコアの仕組み

スコアシートが返ってきて、990点なのに下の項目別正答率の棒グラフが100%になっていないことに気づきました。おそらくリスニングで3〜4問、リーディングでも1問ほど間違えています。

これはミスではなく、TOEICのスコアがそもそも素点ではないからです。

リスニング5〜495点、リーディング5〜495点、トータル10〜990点のスコアで5点刻み

そして表示されるスコアは、「スコアの同一化(Equating)」と呼ばれる統計処理によって算出された換算点(Scaled Score)です(出典:IIBC「テスト結果について」)。

受験回によって問題の難易度は変わるので、難しい回に当たった人が損をしないよう事後に調整が入る仕組みです。だから数問落としても990点は出ますし、逆に「990点=完璧」でもありません

もうひとつ実務的に大事なのが、誤答による減点はないということ。分からなくても空欄にせず必ずマークしてください。塗らないぶんだけ確実に損をします。

「満点は上位1%」は本当?→ 実は公式に確認できません

満点取得者の割合について、ネット上では「受験者の上位1%くらい」という数字をよく見かけます。私も以前はそう思っていました。

ですが、調べ直したところIIBCが公表しているスコア分布表は「895点以上」が最上位の区分で、990点だけの人数は公表されていません(TOEIC L&R 公式データ・資料)。

つまり、「満点は上位◯%」という数字は、公式には裏が取れないということです。この記事でも断定はしません。

公式に確認できるのは規模のほうです。2024年度のTOEIC L&R受験者数は、公開テストが735,425人、団体特別受験制度(IPテスト)が1,041,495人、合計1,776,920人。母数としてはこれだけの規模のテストです。

900点と990点を分けているもの

900点前後まで来ている人と、990点との間には想像以上の差があります。体感として、分かれ目はほぼリーディングです。

  • リスニングは数問落としても990点が出る(私自身がそうでした)
  • 一方でリーディングは、ほぼ取りこぼしがない状態でないと満点圏に届かない
  • つまり990点を狙うときのボトルネックは、たいていリーディング側

リーディングは75分で100問。1問あたり45秒しかありません。ここで効いてくるのは語彙力や文法知識よりも、「英文を止まらずに読み切る処理速度」だと感じています。私がリーディングで20分余らせられたのも、勉強したからではなく、アメリカで10年間ずっと英語を読んで仕事をしていたからです。

満点を支えたのは、教材ではなく14年の使用量でした

教材の話でいえば、私がやったのは公式問題集を解くことだけです。市販の対策本にも手を広げていませんし、講座も受けていません。

ただ、それだけで990点まで届いたわけではありません。840点だった14年前から990点までの間に何をしていたかのほうが、影響としては大きい。英語で生活して英語で働き続けたことです。そのなかで、TOEICに効いたと感じるのは次の2つです。

  • 読む速度。仕事のメールも資料も英語だったので、英文を英文のまま前から処理する速度が上がった
  • 聞き取れなかったところを文脈で埋める耐性。会議で一語聞き逃しても止まらずに追い続ける習慣がついた

ただ、これは短期間で真似できるものではありません。再現性という意味では、TOEIC対策としてはかなり効率が悪いと思います。

日本にいながらこの2つを鍛えるなら、毎日短時間でも英語に触れ続ける仕組みを先に作るほうが早いです。スキマ時間の使い方や、目的別のアプリの選び方はこちらにまとめています。

そもそもTOEICは受けるべき?

TOEIC高得点=英語が話せる、ではありません

これは満点を取った側として正直に書いておきます。TOEIC L&Rはその名のとおりリスニングとリーディングだけのテストで、話す力も書く力も測っていません。

990点でも会議で発言できない人はいますし、逆にTOEICは700点台でも現場で堂々と交渉している人を何人も見てきました。スコアはあくまで「英語を受け取る力」の指標です。

それでも、日本の就職・転職では確実に効きます

では意味がないのかというと、そんなことはありません。日本の採用の現場では、TOEICスコアは今も最も分かりやすい共通言語です。書類選考の段階で英語力を数字で示せる手段が、事実上ほかにありません。

私自身、ITエンジニアから戦略コンサルへ転職したとき、「グローバル案件のPM経験」「TOEIC990点」「PMP」という組み合わせが差別化として効きました。その一部始終はこちらに書いています。

受験料(2026年時点)

  • 通常:7,810円(税込)/紙の公式認定証の発行を希望しない場合は7,700円(税込)
  • リピート受験割引:2026年12月までの利用で6,710円(税込)、2027年1月以降の利用は7,150円(税込)

リピート受験割引は、前回受験から半年後〜翌年同月までに実施される公開テストで1回だけ使えます。申込時に同じアカウントを使う必要があるので、続けて受けるつもりなら意識しておくとお得です(出典:IIBC「受験料・支払方法」)。

これから990点を狙う人へ:当日の5つのポイント

  • 寒暖対策を完璧に。集中力が切れる原因の第一位は体温です。脱ぎ着できる上着を必ず持っていく
  • 聞き逃した1問は捨てる。引きずると次まで落とします。切り替えの速さがリスニングのスコアを決めます
  • 空欄を作らない。誤答減点はないので、分からなくても必ずマークする
  • 見直しで直しすぎない。最初の解答が正しいことのほうが多いです
  • 禁止行為は絶対にやらない。過去のスコアまで無効になるリスクに見合いません

まとめ

アメリカで10年暮らし、現地で働いていました。それでも、TOEICの990点は「住んでいたから自動的に取れた」ものではありませんでした。落としかけた原因は英語力ではなく、寒い会場と集中力です。

そして調べ直して分かったのは、満点でも全問正解ではないこと満点者の割合は公式には公表されていないこと、そして昔のテクニックは今やると過去のスコアごと失うことでした。

990点は目的ではなく、選択肢を増やすための道具だと思っています。日本の採用市場ではまだ十分に強い数字なので、狙える位置にいる方はぜひ一度取り切ってしまってください。


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